マスコミこそガーシーを擁護すべきだった。ガーシー報道に見る日本のマスメディアの劣化

国会議員を除名となり日本に帰って来れば確実に実刑が出るとされているガーシー氏に対する報道に私は疑問を持っていた。長い間、その疑問を言葉にできずモヤモヤしていたが、考えが整理されたので、ここで記事にしてみたいと思う。

まず問題を「名誉毀損」と「国会欠席による除名」に分けて見ていこう。

名誉毀損

マスコミはガーシー氏を名誉毀損で訴えられた悪い人だという報道を一方的にしていたが、その名誉毀損の具体的な内容はどういったものだったのだろうか?
一般人男性に対するものに関しては私もガーシーが悪いと考える。暴露の内容はともかく家族に言及した部分に関しては擁護のしようがなく訴えられてもしょうがないというのが私の意見だ。
しかし他のものに関しては日本のマスコミと意見を異にする。
川上氏に対するものは暴露を募集したというもので、お金を払ってゴシップを買っている週刊誌などのマスコミが普段やっている行為となんら変わりがない。また、綾野剛氏に関しては未成年飲酒の当事者を同席してのインタビューをし未成年飲酒の責任を追求するもので、正当性のある行為であると言える。
また告訴人には入っていないが三木谷氏に対する暴露は未成年のウクライナ人とパーティーを動画付きで暴露したものでその行為が違法であるかどうかはともかく、時の権力者が多くの人の倫理に反する行為をしていたことを世間に明らかにする行為で、マスコミが政治家の売春などの不純行為を報じるのと同列の社会的に一定の意義のある行為であるとも言える。
権力者の行いを暴露する行為はまさにマスコミが普段からしている行為で、マスコミの存在意義の中核とも言える部分だ。それを動画や当事者のインタビューなどの証拠付きで行い、それが元で訴えられるというのは訴えられた人物をマスコミこそ擁護すべき事柄である。百歩譲ってどういう行為をしたかを伝えた上で悪いとして報道するならまだ分からなくもないが、核心の部分の三木谷氏の名前や綾野剛氏の行為について言及したメディアは皆無で、それをせずに一方的に悪い人物だと報道するのは、例えば某ロシアやミャンマーの国営テレビが独裁者や権力者に追従して政敵を攻撃するような恥ずべき行為である。

国会欠席による除名

上記の点を踏まえると権力者に楯突き、謂れのない罪を着せられ逮捕されそうな人物としてのガーシー氏が浮かび上がる。そうすると彼が日本に帰らず海外から活動をするというのも理解できる行為に思えるはずだ。また、この点も千歩譲って彼が本当に正当性のない、例えばBTSメンバーに会えると言って金を奪う詐欺行為をして逮捕されそうで日本に帰らず国会に来ていないとしよう。
マスコミは国会に来ないことをしきりに悪だと決めつけ、それが国会議員の仕事なのだと主張していたが果たしてそうなのだろうか?
例えばオードリータンレベルに有能な人物が国会議員になったとして、国会議員として海外からフルリモートでIT推進に関する仕事をしたとする。この人物はIT化に関して比較的先進的で有能だとされている河野太郎の100倍、他の国会議員を全員合わせたよりも国会議員としての仕事をしその役割を果たすだろう。もちろんガーシー氏はオードリータンクラスに有能な人物ではない(しかし、どのような内容であれ日本最速でYouTubeの登録者100万人を達成するのは何らかの能力が卓越している)。ここでの主張は国会出席しない=悪と一方的に主張するマスコミの頭の悪さを指摘することを意図したものである。
また、万歩譲って国会を欠席する行為を悪だとして考える。国会議員が多数決で除名する行為は民主的な法治国家ではない。国会に来ない人を除名するというのならきちんとしたルールを設けてそのようにすればいい。例えば国会を欠席する場合は国会に申請し認めらなかった理由で〇〇日以上欠席をすれば除名されると明文化した上で除名とするのが適切な方法と言えるだろう。田中角栄でも、大谷翔平でも、ガーシーでも、同じ行為をすれば同じように裁かれるのが法治国家だ。断じて国会議員の投票などといった手段で除名を決めるべきではない。国会議員の投票による除名決定は、権力の介入や政治的な意図が絡みやすいため、法治国家の原則に反すると言える。この点について批判的な意見を提起するマスコミもほとんど存在しなかったことは、報道機関としての役割を十分に果たしていないと言えるだろう。

報道機関は、民主主義や法治国家の原則を守るために、権力に対する監視機能を果たすことが求められる。そのためには、事実に基づく報道や公正な意見提供が不可欠であり、今回の欠席に関する問題に対しても、適切なルールや対処方法についての議論を促すように報道すべきだったのだ。

最後に、私はガーシー信者ではない。彼が国会議員として相応しくないと問われればYesと答えるし、また糞人間なのかと問われればYesと答える。ただマスコミの不誠実な姿勢に憤りと不安を抱えているだけなのである。マスコミは事実を正確に報道を心掛けることが求められる。そのためにも、悪意に基づく報道は避けるべきだ。これが報道の自由を守り、民主主義の発展に寄与するのである。私はマスコミこそがガーシーを作ったと考える。マスコミが事実を正確に報道せず権力に対する監視機関としての役割を失い権力者が国民の利益を損なう行為を大手を振って行うようになった時ガーシーやトランプといった人物が生まれるのだ。彼らは問題の原因ではないマスコミや権力者のこれまでの行為の結果なのだ。ガーシー氏の問題は、単なる一国会議員の除名問題に留まらず、マスコミと権力構造全体に関する問題を浮き彫りにしている。

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